船出 ―もちろん猫も―
昨日、書店のポイントカードの登録で、職業欄に“自由業”と入力した。
“自由業”
働くっていうことはどこかに所属しなければ!という脳ミソしかなかった自分がまさかこうなるとは思ってもいなかった。
本屋を退職しようと決めたとき、出版業界をいろんな角度から見てみたくて、次は取次か出版社で働きたいなぁとボンヤリ考えていた。
特に書店と近い営業の仕事があったら声をかけてほしいと知り合いに頼んでいたのだけれど、やっぱり“私”には書店で働いて欲しい!とたくさんの出版社の人達に言われ、メールで送られてきた求人には『契約社員 9時~23時シフト制/時給960円/交通費1000円』とか『アルバイト 9時~23時シフト制/時給850円/交通費ナシ』とかそんなのばかり。
前の職場で退職者のひとりに、私が次はこういう仕事がしたい!と前向きな話をしていたら、『私は図書館の仕事を紹介してもらえるからいいけど、バイトしかやったことない人は正社員になんかなれないよ!出版社の仕事だって簡単じゃないんだからできない!バイトはバイトのままなの!そういうもんなの!』と言われたことを思い出した。
そんなんやってみなきゃわからないでしょうよ!と思ったけど、あの時はみんなストレスでおかしくなっていたから、私はコレを100%そのままの意味で受けとめてはいない。
でもこういう求人が集まってくるっていうのはそういうこと?と不安になる。
バイトは一生バイトのまま、という“世間の常識”を私が知らなかっただけ?
とりあえず、依頼されていた絵の仕事をしながら、私に会ってみたいと連絡をくださった方には業界問わず、片っ端から会いに行った。
そうしているうちに私と“業務提携”したいという話がいくつかあって、『ん?業務提携?私と業務提携して何かそっちにいいことあるの?』と思ったので、そういう質問を相手にしてみたら、“経験・人脈・技術・行動力・企画力・でんすけ・自分が窮地に陥ってる時に本読んでブログでオススメしちゃう変態っぷり”に魅力を感じました、と言われて笑ってしまった。
(余談ですが、前回の記事で紹介した『はじめての著作権法』がamazonのランキングで1位になっていたそうです、ありがとうございます……?)
ここでもどうして?と聞いても答えてくれなかった『絵の仕事はやめた方がいい』という人からのアドバイスを思い出してしまって、果たしてやっていけるのかしら?と盛大に悩んだ。
……が、もうこの頃には半分ヤケクソなのと、『どうせなら今まで無かった仕事をしようじゃないのー!』と、かなり気持ちがBIGになっていたので、清水の舞台からコードレスバンジーする勢い(もちろん死にたくないのでパラシュート装備)で、いろんな出版社のお手伝いと絵の仕事をするフリーランスになった。
今まで集団の中で働いていたから、ひとりぼっちで働くようになったら淋死するかと思ってたけど、そうでもなかった。
週3で出版社に通い、他の出版社のイベントを手伝ったり、依頼された拡材を作る“なんでも屋さん”は、自分の担当の棚のジャンル問わず仲良くしてくれたたくさんの出版社の人や大学の先生や作家さんや翻訳者さんたちとこれからも一緒に仕事ができる一番良い方法だったかもしれない。
これを読んでいる人の中には『肝心のお給料は?』と気になっている人もいるだろうから書いておくと、週5で7.5時間働いていたアルバイトのときよりも、税金とか保険料とか自分で払っても手取りと“空いてる日”がかなり増えました。
なので、この“空いてる日”に他の仕事を入れています。
いまホントに楽しい。
いや、わりといつだってその時の『今』が一番楽しいのだけど、ここ1年くらいよろしくなかったので余計に楽しい。
よ
き
か
な
完全に筏レベルの舟で漕ぎ出した感はあるけれど、後ろにはシッカリと福の神なのか貧乏神なのか微妙なでんすけも乗ってるので海が荒れそう(笑)
これからどうなるかいろんな意味で楽しみ。
前の職場のリニューアルオープンのお祝いとして店に飾った胡蝶蘭が咲いた。
お役目が終わったあとに、胡蝶蘭を育てるのがうまい翻訳者の古屋美登里さんと山分けして持って帰ってきたもの。
あのとき店で綺麗に咲いていた花にまた再会できたことが、どこか不思議な感じがした。
前回の記事に対してたくさんの方からあたたかいコメントやDMをいただきました。
どうもありがとうございました。
その中で『自分もいま同じ状況にある。どうすればいいですか?』という相談もありましたが、私は専門家ではないのでわかりません。
会社と法的に戦いたいなら労働組合に相談することをオススメします。
無料で相談もできますし、私なんかよりちゃんとしたアドバイスがもらえると思います。
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